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マラウイ大統領選:ピータームタリカが勝利

5月30日、5月20日に行われたマラウイ大統領選でマラウイ選挙管理委員会は、野党の民主進歩党(DPP)のリーダであるピータームタリカが現職のジョイスバンダ大統領を破り大統領選に勝利したことを発表しました。得票率は、36.4%とのことです。マラウイ国民会議党のラザラス・チャクウェラが27.8%, 前大統領となるジョイスバンダが、20.2%で3位でした。

マラウイ選挙管理委員会は、投票前は、投票から8日以内の発表としていましたが、投票の翌日に現職のジョイスバンダ大統領が、選挙に重大な不正があったとして選挙の無効を訴えました。これに対して高等裁判所は、その訴えを棄却しました。選挙管理委員会は、開票の再集計を指示し、30日以内に発表するとしていましたが、高等裁判所は、5/30に選挙結果を発表を命じ、選挙結果が確定しました。

ピータームタリカ大統領は、故ビング・ワ・ムタリカ前大統領の弟です。ビング・ワ・ムタリカ大統領は、2012年4月に心臓発作で急死し、副大統領でジョイスバンダ大統領が大統領に昇格していました。若干わかりにくいのですが、前ムタリカ大統領もジョイスバンダ大統領ももともとは同じ民主進歩党でしたが、対立が目立ち、民主進歩党が除名され人民党を立ち上げています。選挙直前では人民党が与党、民主進歩党が野党で、今回の選挙では野党が勝利したことになります。

ビング・ワ・ムタリカ前大統領は、晩年は独裁色が強くなり、ドナーなどから厳しく非難をされていました。一方、高潔なイメージが強いジョイスバンダ大統領は就任当初は国内外から大きな期待で迎えられました。就任してすぐに経済改革に取り組み、IMFから要求されていた通貨クワチャの引き下げに応じ、変動相場制に移行しました。しかし、通貨のクワチャの引き下げが止まらず経済が混乱し、さらに昨年に「キャッシュゲート」と呼ばれている政府関係者による巨額の汚職事件が明るみに出て、支持率が急低下していました。

ピータームタリカ大統領は、故ビング・ワ・ムタリカ前大統領の政権下では、外務大臣や教育大臣などを歴任していました。今後は、ドナーなどと協調して経済をいかに安定化させることができるかが大きな課題となります。ビング・ワ・ムタリカ前大統領は肥料の助成政策などで農業生産の安定化などに尽力しました。今後、タバコに頼った農業生産からタバコに替わる換金作物など新たな外貨獲得政策などが実施できるかが重要そうです。

米国、マラウイの選挙開票を監視

米国国務省は26日に声明を発表し、マラウイのトリプル選挙(大統領、国会議員、地方議員)の開票状況についてアフリカ連合や国際社会とともに監視し、各政治リーダは暴力を避け、憲法と法に基づいた行動をとることを呼びかけています。

マラウイ選挙管理委員会、一部の投票所での再集計を指示

先日の20日のマラウイの総選挙で一部の投票所での票の再集計を指示しています。BBCによると38,000人の有権者に対して184,000票が投じられてことになっていた投票所があるようです。

いつも思うのですが不正の規模が尋常ではないです。マラウイの有権者数は750万人と言われています。マラウイ人の人口は世銀による1,591万人(2012)です。もし、上記のような投票所が10箇所あったら・・・と思うとゾッとしますね。一応、南部アフリカ開発共同体(SDAC)の選挙監視団は一部に混乱があったものの問題なかったと述べているのですが・・・・

バンダ大統領、選挙無効の訴え

20日の大統領選挙が実施されたマラウイですが、金曜日にマラウイ選挙管理委員会が開票率30%の段階の得票率は前ムタリカ大統領の弟であるピータ・ムタリカが42%, 続いてバンダ大統領が23%と続いていると発表しました。これを受けて、バンダ大統領は開票システムへの不正なコンピュータハッキングや不正投票、重複投票など重大は不正行為があったとして大統領権限での選挙の無効を訴えています。
(追記)マラウイの高等裁判所は、この大統領の提訴を却下しました。

選挙の無効は難しそうですが、混乱が続いているのは事実のようです。

マラウイ大統領選、総選挙2014

5月20日にマラウイの大統領選挙が実施されました。今回の大統領選は2012年に第3代のムタリカ大統領の急死に伴い大統領に昇格した人民党のジョイスバンダ大統領の信任が問われる選挙になっています。今回の大統領選では、12名立候補しており、有力候補は、民主進歩党(DPP)の現大統領のジョイス・バンダ氏、故前ムタリカ大統領の弟であるピータ・ムタリカ氏、マラウイ国民会議党のラザラス・チャクウェラ氏、民主統一戦線の第2代大統領の息子であるアトゥプレ・ムルジ氏の4名となっています。選挙直後の世論調査ではピータ・ムタリカのリードが伝えられましたが、どうなるかわかりません。

今回の選挙では、南部の商業都市のブランタイヤなどで一部混乱が見られたようです。選挙の投票用紙が投票開始時までに届かず、不信と不満から一部が暴徒化し投票所の火を放ち軍が配備されるといったトラブルが発生しています。一部の投票所では投票は10時間も遅れて開始され、ブランタイヤや首都リロングウェの一部の投票所では翌日まで行われていたようです。ただ、こうした問題のあった投票時は全体の4000箇所のうちの1%だったとのことです。

また不正も噂されています。投票システムへのコンピュータのハッキングや投票数が有権者数を上回る投票所があったとのことで、ジョイス・バンダ大統領は選挙の翌日に演説を行い不正があったとし、選挙管理委員会に人手による票数の再カウントを指示しています。

今回の選挙では、大統領選のほか、193名の国会議員選挙と462名の地方議員選挙が行われたとトリプル選挙です。特筆すべきはこの地方自治体選挙です。マラウイの地方選挙は大統領選挙の翌年行うとのことでしたが、1994年複数政党制が導入されて以降実施されたのは、2000年に一度実施されただけのようです。2011年にも地方選挙が実施される予定でしたが、当時のムタリカ大統領の一存で、今回の2014年まで実施しないとしていました。今回のトリプル選挙で実現され、2005年以降、地方議員や知事が不在だった地方統治がようやく実現されることになりそうです。

なお、選挙結果は8日以内と発表されるとのことですので、今月中には次期大統領が誰かわかりそうです。

今回、選挙は国際社会はジョイスバンダ大統領を支持でしょう。前ムタリカ大統領は独裁化し欧米などのドナーのアドバイスを効かず、大統領専用ジェット機を購入するなどし、ドナーが援助を凍結するなどといったことが起きていました。高潔なイメージが強いジョイスバンダ氏はムタリカ大統領の急死で大統領に昇格しサブサハラ以南では初の女性大統領となりました。国際社会からも支持されています。ただ、IMFから強い要求により、通貨クワチャを変動相場制に移行しましたが、それによりクワチャが下落し、物価が高騰し経済が混乱しました。国民の期待が大きかった分、国民の不満が強かったのではないかと思います。そして、昨年にはキャッシュゲート事件と呼ばれるマラウイ史上最悪、わかっているだけで1500万ドル(約15億円)以上の汚職事件が明るみにされ80名以上の逮捕者や殺人事件などを起こり、ドナーからの援助も凍結されるなどバンダ大統領にとっては選挙直前まで厳しい局面が続いていました。

マラウイ:大統領選挙等(5月20日)に伴う注意喚起

日本の外務省は、4/11付で5/20のマラウイの大統領選挙に伴う注意喚起を発出しています。

マラウイでは、大統領選挙は5年毎に行われています。2004年、2009年とビング・ワ・ムタリカが当選しましたが、2012年4月5日に心臓発作で急死、2012年4月7日から当時副大統領であったジョイス・バンダ が大統領に昇格しています。当時、大統領と副大統領なので同じ与党のようにみえますが、政権の途中で対立が深まり、当時の与党であった民主進歩党から除名されたジョイスバンダは人民党を立ち上げています。今回の選挙では、ジョイスバンダが現大統領ですので、与党である人民党と野党となる民主進歩党と対決となり、ジョイスバンダと民主進歩党の党首で故ムタリカ大統領の弟であるピータームタリカとの対立となりそうです。国際社会は、ジョイスバンダ氏を支持すると思いますが、なかなか経済が安定せず物価が高騰して国民の不満が高いのも事実なのでどうなるでしょうか?

「Cashgate」汚職裁判が始まる

先週、歴史的にもマラウイ史上で最悪の汚職事件と見られている「cashgate」を呼ばれている汚職事件の裁判が始まっています。全体像は依然としてわかっておらず、全容解明は難しいと見られますが、少なくとも1億ドル(約100億円)以上が不正に消えたと見られています。マラウイ最大のドナーである英国は、専門家の調査で少なくとも2,000万ドル(約20億円)の不正を確認したとしています。

マラウイの国家予算の約4割をドナーから支援で賄っています。国家歳入は1,000億円ぐらいですので、単年での汚職金額でないとはいえ、年間国家歳入の1割以上、ドナー支援金額で見る1/4以上を占める金額に相当するわけで尋常でない金額です。マラウイの汚職事件のニュースを読むといつも単位が国の規模に比べて汚職規模が大きいので、ゼロを一つ読み間違えているのでは?と不安になるぐらいです。

この汚職事件は、電算システム上の財政データを不正操作することにより搾取していた事件のようです。昨年の9/13にこの汚職を実態を解明しようとしていた予算局長の襲撃殺人未遂事件により問題が明るみとなりました。

マラウイは今年の5月に大統領選ですのが、今回のスキャンダルが大統領選にどういった影響が出るか気になるところです。まぁ、ジョイスバンダ大統領自身が悪いわけではないのですが、通貨クワチャは現大統領が2012/04に大統領就任後の翌月に変動相場制に移行してから、大きく下落し、現在は、1ドルが434MKぐらいで推移しています。これにより物価が2~3倍に高騰しており、国の実態、体力を考えると仕方がないのですが、論理的思考でなく感情的に短絡思考をしてしまうとジョイスバンダ大統領が悪いと国民が考えてしまうとことになるので厄介です。

Cashgateスキャンダルでドナーが援助見合わせ

国民の生活クワチャ下落でガソリン価格が再値上げとなり、物価上昇は避けられず経済が再び混迷しそうな気配です。この発端は9月13日の予算局長のMphwiyo氏に対する襲撃による殺人未遂事件です。Mphwiyo氏は頬、肩、胸と3発の銃弾を撃たれ重傷、リロングウェ市内のカムズ中央病院に搬送された後、南アフリカに移送されています。Mphwiyo氏は7月に予算局長に任命され汚職実態の解明と汚職防止対策を断行しようとしていたところでした。そうした汚職実態の解明の一つとして中央銀行の支出が財務省の財政支出が多かったことなどにより政府高官による巨額の公金汚職が明るみになっています。Cashgateスキャンダルと呼ばれています。汚職規模は数億~数十億円規模と見られています。そして、汚職防止対策として高額の政府支出にあたっては経理局長の認可を事前に得るように求めていました。

こうした中、ジョイスバンダ大統領は、先月の10/10に内閣を解散し、25人の全閣僚を辞任させました。そして、先週の金曜日(11/8)に前ムタリカ大統領の政権の法務大臣であったRalph Kasambara氏を逮捕しています。

しかしながら、今回の巨額の汚職スキャンダルを憂慮し実態が明らかになり対策が講じられるまで欧州のドナーが一斉に援助を見合わせています。トップドナーである英国などは実態の調査団を派遣したようです。現政権のジョイスバンダ大統領が経済の建て直しのため尽力していることはドナーも理解していますが、汚職構造がなくならない状況にドナーが苛立っているといった感じです。マラウイは国家予算の約4割をドナーから援助で賄っています。

年初に忍耐の年になりそう、と書いたのですが、我慢しきれていない感じです。

クワチャ下落、ガソリン料金再値上げへ(1リットル185円)

先月の22日にガソリン料金が値上げされて、それを記事にしようかなと思いながら書きそびれてしたのですが、そうこうしているうちに通貨クワチャの下落がしていることにより、マラウイ燃料規制局は11/12に再度を行うようです。

  • 1リットルあたりのガソリンの価格は、680.80MKから736.60MK→760.00MK(約185円)
  • 1リットルあたりのディーゼルの価格は、657.40MKから730.80MK→770.00MK(約188円)

通貨のクワチャですが、先月値上げされた10/22の時点では、1ドルが390MKだったのですが、今月に入り1ドルが400MKを超え、11/11現在で402MK(約100円)となっています。昨年の同時期(2012/11)が1ドル320MKでした。その後、今年の3月に1ドル385MKまで下落しましたが、その後、持ち直していました。クワチャの下落ですが、9月に明らかになった公金汚職スキャンダルに端を発しているようです。英国、欧州連合、ノルウェーは財政支援の一時見合わせを表明しており、それに合わせてクワチャが下落しています。マラウイは国家予算の40%をドナーの財政支援によって賄っています。一見すると独裁色を強めた故前大統領のムタリカのときのように見えますが、現大統領のジョイスバンダ氏は非常に高い志で経済の建て直しを進めている中ですので状況は異なります。ドナーも思慮しているようです。

ナショナルジオグラフィック、世界厳選の湖にマラウイ湖

ナショナルジオグラフィックの「極上の世界旅行」で「世界各地にある透明で美しい湖を訪ねる」というテーマで厳選された5つの湖の中の一つとしてマラウイ湖と取り上げています。

マラウイ湖は、アフリカ東部の大地溝帯を位置する湖でアフリカで3番目、世界で9番目の湖です。マラウイ湖は、シクリッド科に属する魚(カワスズメ)が固有種も含め非常に多いことで知られており、1984年に世界遺産に指定されています。淡水のガラパゴスと呼ばれるぐらいです。下記の写真は以前に訪れたときに私が撮影したものですが、ちょうど上記のナショナルジオのサイトのマラウイ湖の夕暮れの写真で見える小島のところの写真です。この透明度と魚の数は圧巻です。

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