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マラウイ大統領選、総選挙2014

5月20日にマラウイの大統領選挙が実施されました。今回の大統領選は2012年に第3代のムタリカ大統領の急死に伴い大統領に昇格した人民党のジョイスバンダ大統領の信任が問われる選挙になっています。今回の大統領選では、12名立候補しており、有力候補は、民主進歩党(DPP)の現大統領のジョイス・バンダ氏、故前ムタリカ大統領の弟であるピータ・ムタリカ氏、マラウイ国民会議党のラザラス・チャクウェラ氏、民主統一戦線の第2代大統領の息子であるアトゥプレ・ムルジ氏の4名となっています。選挙直後の世論調査ではピータ・ムタリカのリードが伝えられましたが、どうなるかわかりません。

今回の選挙では、南部の商業都市のブランタイヤなどで一部混乱が見られたようです。選挙の投票用紙が投票開始時までに届かず、不信と不満から一部が暴徒化し投票所の火を放ち軍が配備されるといったトラブルが発生しています。一部の投票所では投票は10時間も遅れて開始され、ブランタイヤや首都リロングウェの一部の投票所では翌日まで行われていたようです。ただ、こうした問題のあった投票時は全体の4000箇所のうちの1%だったとのことです。

また不正も噂されています。投票システムへのコンピュータのハッキングや投票数が有権者数を上回る投票所があったとのことで、ジョイス・バンダ大統領は選挙の翌日に演説を行い不正があったとし、選挙管理委員会に人手による票数の再カウントを指示しています。

今回の選挙では、大統領選のほか、193名の国会議員選挙と462名の地方議員選挙が行われたとトリプル選挙です。特筆すべきはこの地方自治体選挙です。マラウイの地方選挙は大統領選挙の翌年行うとのことでしたが、1994年複数政党制が導入されて以降実施されたのは、2000年に一度実施されただけのようです。2011年にも地方選挙が実施される予定でしたが、当時のムタリカ大統領の一存で、今回の2014年まで実施しないとしていました。今回のトリプル選挙で実現され、2005年以降、地方議員や知事が不在だった地方統治がようやく実現されることになりそうです。

なお、選挙結果は8日以内と発表されるとのことですので、今月中には次期大統領が誰かわかりそうです。

今回、選挙は国際社会はジョイスバンダ大統領を支持でしょう。前ムタリカ大統領は独裁化し欧米などのドナーのアドバイスを効かず、大統領専用ジェット機を購入するなどし、ドナーが援助を凍結するなどといったことが起きていました。高潔なイメージが強いジョイスバンダ氏はムタリカ大統領の急死で大統領に昇格しサブサハラ以南では初の女性大統領となりました。国際社会からも支持されています。ただ、IMFから強い要求により、通貨クワチャを変動相場制に移行しましたが、それによりクワチャが下落し、物価が高騰し経済が混乱しました。国民の期待が大きかった分、国民の不満が強かったのではないかと思います。そして、昨年にはキャッシュゲート事件と呼ばれるマラウイ史上最悪、わかっているだけで1500万ドル(約15億円)以上の汚職事件が明るみにされ80名以上の逮捕者や殺人事件などを起こり、ドナーからの援助も凍結されるなどバンダ大統領にとっては選挙直前まで厳しい局面が続いていました。