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世界初になるか? マラリアのワクチン申請へ

英国大手のグラクソ・スミスクライン社は、臨床試験で一定の成果が得られたとして来年にマラリアのワクチンの承認の申請を行う方針とのことです。臨床試験をアフリカ7か国で1万5千人以上に5~17ヶ月の乳幼児に対してワクチンを接種し、マラリア感染リスクが46%減少したとのこと。生後6~12週間の乳児に対しては27%減少しているとのことです。

WHOの2010年の統計によると、世界で約2億2000万人にマラリアに感染し、66万人が死亡しているとのことです。特にアフリカでの乳幼児の死亡が多く、このワクチンに強い期待が寄せられているでしょう。

バンダ大統領、内閣を解散

マラウイのジョイスバンダ大統領は、政府内に広がる度重なる大規模な汚職問題に対処するため大統領の権限において、25人全閣僚を解任し内閣を10日付で解散したようです。

マラウイに限らず途上国での汚職問題はひどいですね。役人にとっては既得権、手当のように思っているところがあります。マラウイでもなかなか実態はつかめませんが、国家予算の2~3割は汚職に消えていると言われています。数字的にピンとこないかもしれませんが、数十億円の規模で汚職が行われていると見られています。

政府専用ジェット売却費を貧困者の食料に

マラウイ政府は、今年5月に売却した14人乗りの政府専用ジェット機(フランス製のダッソーファルコン900)の売却費1500万ドル(約15億円)を今年全人口(約1500万人)の10%が食糧不足になると見込まれることから、トウモコロシやマメ科の穀物などの購入費として充当することに決定したことを明らかにしています。

この専用ジェット機は、前大統領であるムタリカ大統領が2010年3月に議会を通さず購入したものです。購入費用は1326万ドル(約12億円)とみられています。トップドナーである英国は当時、これに対して強烈に批判し、援助金を約30億円から26億円と約4億円(440万ドル)削減しました。その後も維持管理費や保険などで年間30万ドル(約2700万円)と膨大な費用がかかっていたとみられ国内外から批判を受けていました。国家予算の4割をドナーからの援助で賄っていたわけですから当然ですよね。

独裁色が強くなり、国内外の批判がされていた前ムタリカ大統領は2012年に心臓発作で急死し、バンダ大統領が就任しましたが、バンダ大統領は、ドナーとの関係改善の尽力し、経済の立て直しのために大統領の給与の30%減額したり、以前から批判のあった閣僚のベンツ35台の売却する方針を明らかにしています。専用ジェット機は、今年の1月に売却の方針が発表され、今年の5月に競売にかけられ売却が成立したものです。

独裁政権のジンバブエ、ムガベ大統領が6選

マラウイの前大統領のムタリカと距離が近かったジンバブエのムガベ大統領ですが、7月31日に大統領選挙が行われ、3日に選挙結果が発表されムガベ大統領の6選が決まったことが報じられています。ムガベ大統領は、1980年にイギリスから独立した際に、初代首相に就任(初代大統領は、カナーン・バナナ)にしています。1987年に儀礼的な議員内閣制を廃し大統領制に移行し、ムガベ氏が大統領に就任しています。初代大統領は儀礼的な行為のみ行なっていたようで、実務は独立以降、現ムガベ大統領がずっと権力を握っていることになります。ムガベ大統領は、現在89歳ですが、大統領の任期は5年ですので94歳まで大統領職を続けることになります。つまり、38年間の長期政権になる見込みです。

対立候補であるツァンギライ首相は選挙に不正があったと主張しています。ムガベ大統領を容認しない米国や欧州なども不正疑惑を指摘し、アフリカ連合に調査を促していますが、アフリカ連合は、選挙は「有効」であるとの見解を示しています。

アフリカ開発会議が閉幕

3日、第5回アフリカ開発会議が横浜宣言2013を採択し閉幕しました。今後5年間で、官民合わせて3.2兆円の支援を表明し、安倍首相は「投資すべきは今だ。」と述べています。

素人による国際支援からプロによる国際支援というか投資に期待したいところです。アフリカというと貧しい子どもたちに寄付しよう、とかそういった活動だけに目がいきがちです。寄付しようといっているけど、相手が必ずしも依頼しているわけではないんですよね。

最近、テレビでも身銭を切ってアフリカに人生を捧げています、といった方がよく取り上げられるけど、マクロでみるとアフリカ大陸には10億人いるし、貧しい人がいる中、お金持ちもいるのも事実です。技術も何もない素人のボランティアが活動しても出来ることはしれています。自己満足と言われても仕方がない気がします。

アフリカ各国も支援という上から目線ではなくパートナーとしてみてほしいと異口同音に言っています。双方に恩恵がある関係が築けるかどうか、それが問われる5年間になりそうです。

日・マラウイ首脳会談の概要

1日のアフリカ開発会議の開会後に行われた日・マラウイ首脳会談の概要について外務省が発表しています。ジョイスバンダ大統領が環境、教育、技術、インフラ、農業、灌漑、一村一品運動における日本の支援に謝意を述べ、インフラ開発、母子保健、村落の貧国撲滅について、日本のさらなる支援を要請しています。

また、青年海外協力隊の活動についてもジョイスバンダ大統領は感謝の意を表明しています。

マラウイ、バンダ大統領、持続的な成長に家族計画を

マラウイのジョイスバンダ大統領は、 6/1にTICAD V公式サイドイベントである国際協力NGOジョイセフのシンポジウム「妊産婦の健康に対する投資の効果」にパネリストとして参加して、ノーベル平和賞受賞者であるリベリアのサーリーフ大統領などと出席しています。この中で持続的な成長のために家族計画が重要だ、と述べています。

アフリカ大陸の人口は、現在約10億人と推測されています。2050年には倍増し、20億人に達すると見られています。急激な人口増加により食料の需給や教育などが追いつかないといった問題が発生しています。

マラウイは、1996年に約1,000万人だった人口は、現在は1,500万人を超えています。人口増加率は2.5%前後です。これだけ人口増加が急だと食料需給など大丈夫か不安になります。家族計画は重要ですね。

ジョイスバンダ大統領、安倍首相と会談

1日、第5回アフリカ開発会議が開幕しました。パシフィコ横浜ホテルにおいて、10時27分から54分まで、ジョイスバンダ大統領と安倍首相が会談しています。

安倍首相、アフリカに3兆円の支援

1日、5年に一度の日本主導のアフリカ開発会議(TICAD)が横浜で開催されています。アフリカ54ヶ国中、51ヶ国が出席しています。

その前日から新聞の一面でも取り上げていましたが、1日の午前中の安倍首相の演説で、これから5年間で官民で最大3.2兆円の支援をすることを表明しています。このうち、政府開発援助(ODA)が約1.4兆円で、このうちの6500億円は電力網、交通網などのインフラ整備に充当される予定になっています。また、人材育成にも力を入れるとしていて、5年間で1,000人の留学生、インターンの受入れ、アフリカの10箇所の職業訓練施設を設立するなどし、5年間で3万人の産業人材を育成するとしています。

成長大陸であるアフリカ、日本はどのように関係強化を図ることが出来るかが今回のTICADのポイントになっています。中国の勢いが増す中、巻き返しが図りたいのはもちろんです。アフリカ諸国は、雇用機会創出や技術移転につながらず、資源確保を目的とした中国流の植民地的施策に懸念を表明しており、日本はこうした援助の違いを出していきたいところです。日本もアフリカへの資源政策へ注目が集まりますが、約10億人が住むアフリカ大陸は経済成長も著しく市場として魅力的です。

また、日本としてはアフリカ54ヶ国と関係強化で国連の常任理事国入れを再度目指したい意向のようです。3日にその関連の会合が予定されています。そのほか、今回は、オリンピック招致に向けて、安倍首相が演説の中で協力を求めています。いずれにせよ、アフリカの54票は日本にとって魅力的で日本の国益につながるものです。

「アフリカの貧しい子供たちに・・・」といったステレオタイプ的な見方はそろそろ止めて、新しい関係が築けるかですね。

マラウイ、韓国に10万人の出稼ぎ労働者?

BBCアフリカが、5月30日に今年の2月にマラウイのジョイスバンダ大統領が韓国を訪問した際に、マラウイが韓国の工場や農場へ18-25歳の男女の若手労働者を最大10万人送り出すことに合意をしたとする、マラウイの労働大臣のコメントを報じています。この報道に驚いたのは韓国側で、31日に韓国側はそうした事実はないとして否定しています。

マラウイでは、男性200人、女性160人がパスポートの準備をしていたとも報じられていたので、どこまでが本当なのかよくわかりません。ただ、さすがに10万人はないと思います。この話を聞いて思い出したのが、マダガスカルの農地事件です。2008年に韓国の企業が当時のマダガスカル政府と全農地の半数にあたる土地を99年間無償貸与する契約を行いました。このときは、国民が反発し暴動が起こり、当時の大統領は退陣に追い込まれました。農地の契約は翌年に新政権が破棄しています。

「新植民地政策」、「奴隷制」とかが連想されるので嫌な感じです。上記と直接関係ありませんが、中国の広州にはアフリカ村と呼ばれる場所があるくらい多くのアフリカの人が生活しているそうで、正規の居住者で2万人、ビザ無しなどの不法滞在を入れると20万人ぐらい生活しているといわれています。たしかにエチオピア航空でマラウイからタイのバンコクに行った時、このフライトは最終目的地は広州だったのですが、多くのアフリカ人と中国人でいっぱいでした。客層は悪くて辛かったことを思い出してしまいました。