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反政府派の人権活動弁護士はゾンバの刑務所に移送

 ムタリカ政権の最初の頃の司法長官で、現在は、反政府派のリーダとなっている人権活動家の弁護士ですが、月曜日に彼のブランタイヤの事務所に5人の犯人グループが火炎瓶を投げ込もうとしたようですが、彼の警備員らが取り押さえました。そして、この人権活動家は、犯人グループが政府筋から依頼されて行ったと自白したとのことで警察に引渡したところ、警察に人権活動弁護士らがそのまま逮捕されています。

 政府側は、人権活動家の弁護士の主張を完全に否定し、誘拐し拷問をかけて無理やり供述させたとして警察は逮捕に至ったようです。その後、水曜日に一旦、保釈請求が通り、保釈されたようなのですが、その2時間後に再び逮捕されています。これが今日も現地新聞のトップ記事となっています。

 そして、今日(2/16)、ブランタイヤ郊外の刑務所からゾンバ郊外の刑務所に移送されたようです。

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルも今回の逮捕を不当として保釈を要求しています。

 先週の土曜日のウィークエンドネーション紙には「大統領は辞職すべき」という見出しで元司法長官で反政府派の人権活動のカサムバラ氏のインタビュー記事が掲載されていました。この記事では、司法ストライキのことについて触れられており、大統領は司法と憲法に敬意を払っておらず、辞職すべきであり、さもなければ弾劾すべきと述べていました。

 こうした記事が掲載された後の今回の逮捕ですので、当然ながら関連があると見られています。

 また、昨日(2/15)イギリスのガーディアンが「マラウイ大統領がジンバブエ大統領との比較を非難」といった記事を報じています。これはムタリカ大統領へのインタビュー記事のようですが、大統領は、反政府派の市民団体が西側諸国から資金援助などを受けて政府を転覆させようとしているとし、違憲であり、民主的ではないとして強く非難しています。大統領は「スリッパを買うことも出来なかったのに、なぜビジネスクラスで渡米してロビー活動が出来るか?そのお金がどこから出ているのか?」と述べています。大統領は2/6にも市民団体に資金などの透明性を要求する発言をおこなっています。

 こうしたことから分かる通り、政府側と反政府側は歩み寄りが全く見られず、対立が深まっています。

(追記) 2/17にゾンバで今回の逮捕が不当であるとして、人権活動家などがゾンバで座り込みの抗議活動が行われる見込みです。

市民団体、政府との対話が全く進まず苛立ち

 市民団体は、昨年外貨不足、燃料不足などによる経済悪化に対して十分に対策がなされていないなどを理由に、全国規模の反政府デモを昨年の7月に実施し、20項目の請願書を政府側に提出しています。その後、この請願書に対して回答がないとして、再度8月にデモを予定していましたが、国連が仲介し、デモは延期になっています。そして、市民団体と政府連絡委員会との間で対話することになっていたのですが、ほとんど対話が進んでおらず苛立ちを強めています。市民団体側は、請願書の20項目の中で進んだのは、マラウイ大学の講師の復職問題、薬不足への対策、昨年の新法の見直しの3つだけであるとしています。

 対話は、昨年の10月を最後に結局実施されていないようです。1/12に実施される予定でしたがキャンセルされています。市民団体は、以前に3月末までに進展しなければ、新たな行動を行うとしており、全国規模のデモ活動などを示唆しています。

 これと並行して、反政府側の人権活動弁護士が逮捕されたことが余計に市民団体側の不満を募らせる結果となっています。この人権活動弁護士は、情報が錯綜しましたが、逮捕後、一度釈放されたようですが、すぐに家宅捜査がなされ再逮捕されたようです。今日のネーション紙もこの記事がトップになっています。以前にも書きましたが、さらに話しを複雑にしているのは、司法事務員による給与アップを求めるストです。すでに1カ月半裁判業務が停止しています。拘置所は満杯状態で足の踏み場もなく、すでに、拘置所の中で死亡する人まで出ているほどです。マラウイは国の水準の割に司法手続きが進んでいるのですが、逮捕が不当であるかどうかなどの司法判断が司法ストで全く機能していません。

レイメイ藤井、地球儀のマラウイの国旗の配色表記を誤る

image レイメイ藤井が製造し、日本トイザらスなどを通じて販売されたエデュサイエンス「国旗付き地球儀」やしゃべる国旗付き地球儀のマラウイの国旗の配色表記に誤りがあったことが、プレスリリースされています。マラウイの国旗は上から赤・黒・緑の配色ですが、黒・赤・緑の誤配色となってしまったようです。2011年9月から2012年1月生産分のロットが対象となるようです。国旗付き地球儀は訂正用フィルムを送付することで、しゃべる国旗付き地球儀は製品交換で対応するようです。

マラウイの国旗は2010年7月29日に新しい国旗に変わりましたが、この変更に対応した際に間違ったようです。マラウイに関する「痛いニュース」です。

反政府派の人権活動弁護士を逮捕

 今日のトップニュースだったのですが、ちょっと内容が見えないので躊躇しました。昨日の月曜日に商業都市の南部ブランタイヤで元マラウイ司法長官で、現在は反政府派の人権活動弁護士が逮捕され、今日(2/14)、刑務所に移送されています。 問題はなぜ逮捕されたか?なのですが、彼の事務所に火炎瓶を放り込もうとした5人の犯人グループを彼の事務所の警備員が取り押さえ、警察に通報し容疑者を引き渡したところ、この弁護士らも逮捕されたようです。人権活動家の弁護士は、犯行に及ぼうとしていた犯人グループが政府に雇われたと供述したようですが、政府側はこれを否定、犯人グループを拷問にかけて自白させたとしており、自作自演であるとして逮捕した模様です。

週末にネーション紙やタイムズ紙に大統領が辞職あるいは弾劾すべきだといった内容の、この弁護士のインタビュー記事が掲載されていたようです。真相は不明ですが、新たな火種となりそうで嫌な感じです。

(追記1)2/14の夜に釈放された模様です。
(追記2) その後の報道を見ると、まだ刑務所に拘束されているようです。現在司法ストが行われているので司法手続きも滞っていて戻されたのではないかと思います。また彼の自宅が家宅捜査されたようです。

マンゴチで13人がハイエナに襲われ負傷

 マンゴチで、先週の土曜日13人がハイエナに襲われて負傷し、8人が入院する重傷を負ったようです。襲ったハイエナは、村人が殺したようです。

 ハイエナは早朝朝5時頃に村を襲ったようです。リロングウェでも市内中心部のサンクチュアリの自然保護区にハイエナがいるそうで、夜間に道路に出没することがあるそうです。マンゴチ周辺では、ハイエナのほか、野生の象などが襲撃してくることがあるようです。

財務大臣、1,132人の架空年金受給者を削除

 先週の金曜日に財務大臣が国会で今年度の財政についての途中経過を報告しているようですが、その中で、1,132人の架空年金受給者を削除したことを報告しています。年間で1億1,300万クワチャ(約5,650万円)が不正に支給されていたようです。これは、支給方法を現金支払から口座振込にしたことにより、洗い出されたようで、同様に1万3,800人の架空公務員も削除し、年間36億クワチャ(約18億円)を削減したとしています。

 いつもながら、唖然するような規模なので、数字の見間違えではないかと思い、思わず電卓を叩いてしまいます。上記の数値から計算すると月当たりの平均年金受給額は、約50ドル、架空公務員の平均月給も約132ドルとなるので、数字は正しい感じです。公務員は17万人ですよ。1万人以上の架空公務員って・・・ 昨年、前財務大臣は5,000人の架空公務員が判明したことを発表し、実際には1万人以上がいるだろうと予測していたのですが、その通りの結果となっています。こうした情報が公表されているだけマシなのですが・・・ マラウイでは国家収入の2-3割が横領によって失われていると言われますが決して大袈裟ではないことがわかると思います。

 マラウイというと、最貧国の一つで国民の約4割が1日1ドル以下、そして国民の7割が1日2ドル以下で生活していることに目が行くのですが、問題の根っこは、残り3割の方です。私たちが直接干渉することが出来ないので、透明性を高めるための仕組みづくりを支援していく必要があると思います。そうしないとドナーからのお金は意図されない方向でドンドン無くなってしまいます。日本はいつも明確に言及していませんが、英国や米国などは自国民の税金をそういった国の支援に使うのはけしからんと言って支援を凍結しているわけです。

 マラウイの子供たちの写真を見せて、「マラウイはのんびりしていて素朴で良い国だ。」と言うのも結構ですが、表面だけ見ないで、もう一つ突っ込んで考えてほしいと思っています。そうしないと真の姿がいつになっても伝わりません。

リロングウェ・バスターミナル周辺、今週も引き続き厳戒態勢の模様・・・

 先週の月曜日に警察、市当局が路上販売者の強制排除を行い、それに伴い警察と路上販売者の間での衝突がバスターミナル周辺で発生しています。その後、路上販売者は一掃されていますが、警察は依然として厳戒態勢を崩していないようです。今朝も催涙弾銃や銃などを携行した武装警察が巡回をおこなっていました。この武装警察の人、銃の携行が粗雑でドキドキします。銃が重いからだと思うのですが、銃を肩にかけて銃口を上に向けたり、あるいは持ち替えて銃を下に向けたりするのですが、その過程で銃口がこっちに向いていたりします。安全装置でロックされているとは思いますが、危ないです。

 実は、以前から書こうと思っていたのですが、傘とかの扱いも粗雑というか粗暴です。今は雨季なので傘を携行しているマラウイ人が多いのですが、傘を持って、後ろの人を刺すつもりかと思いたくなるように地面と並行に傘を持って歩いていたり、ちょっと油断をすると傘を振り回したりしています。もちろん、ほとんどの人がきちんと持っていますが、そうは言うものの何度もこっちが身構えることがあるので、そういった人がそれなりに多いのは間違いないです。

男子サッカー、アフリカ選手権ザンビアが初王者に

 昨日(2/12)にガボンと赤道ギニア共催で行われたサッカーのアフリカネーションズカップ(アフリカ選手権)は、ガボンでザンビアとコートジボワールの間で決勝が行われ、PK戦の末、ザンビアが勝利しています。ザンビアはアフリカネーションズカップ初制覇とのことです。コートジボワールは日本人でも名前を知っているドログバなどのスター選手を擁し終始主導権を握っていたようですが、決定的なチャンスをつかむことが出来なかったようです。コートジボワールは大会を通じて無失点で、PK戦でドログバがPKを外したのが痛恨だったようです。

トウモロコシ不足になるのか?

国連の人道問題調整事務所の報道部門で、紛争や災害情報等を人道援助関係者に広く情報提供を行なっているIRIN(Integrated Regional Information Networks - 統合地域情報ネットワーク)は、2/9付で「マラウイ:上昇する価格と差し迫るトウモロコシ不足」(原文は英語)という記事を報じています。

 これは、今シーズンが例年にない不規則な雨の降り方になったため、一部の地域ですでに作物の作付が失敗しており、深南部では洪水の被害で農作物に大きな被害が出ています。今後もこうした不規則な降り方が続くのであれば、収穫に影響を与えるのではないかということを懸念するものです。ただ、楽観的な見通しでは、1月末の時点で全国的に雨がよく降っているので順調に収穫が出来るのでは、とも見られており、微妙な状況のようです。

 また、昨年の12月に政府は、今シーズントウモロコシが不作であった場合を想定し、トウモロコシの輸出を禁止しました。ただ、大半は輸出された後だったようです。また、同様に政府は、トウモロコシの売買を行なっているADMARC(Agricultural Development & Marketing Corp - 農業開発市場公社)を通じてのトウモロコシの価格を1キロあたり24セントから36セントに引上げています。これは、トウモロコシの再販を防止するのが目的とされていますが、実際には、この価格上昇がトウモロコシの物価上昇を引き起こしたとみられているようです。

この記事の中では、クワチャ切り下げについての国内外の圧力についても報じられていますが、ドルに対して公定レートが166MKですが、短期金融市場のレートでは270-300MKとなっているとのことです。以前よりさらに下落している感じです。昨年末ぐらいは、250MK前後でした。マラウイは直近では2005/06にかけて洪水と干魃の被害で農作物が壊滅的な被害を受け食糧危機が発生しています。その後、ムタリカ大統領が肥料助成金政策を導入し、この政策が功を奏して豊作が続き、マラウイは近隣諸国へトウモロコシを輸出出来るまでになっていました。ただ、昨今の気候変動や土壌の疲弊、人口増加など食糧に関する課題は山積みの状態であることには変わりません。

深南部のンサンジェ、チクワワでコレラが発生

 1/18-26日頃にかけて非常に強いサイクロン(台風)FUNSOがモザンビーク海峡に停滞し、その影響でマラウイでも深南部のンサンジェ、チクワワで過去に前例のない洪水が発生し6,000人以上が被災しています。これにより、トイレなどが冠水するなどして衛生環境が悪化し、コレラが発生しています。これまでのところ、64人のコレラの感染が確認されているとのことです。

このサイクロンは特にモザンビークに大きな被害をもたらしており、モザンビークでは被災者約12万人、死者32人となっており、日本政府はモザンビーク政府の支援要請を受けて、JICAを通じモザンビークに対して、1900万円相当の緊急援助物資供与を行なっています。物資は2/6に引き渡されています。