マラウイ選挙支援ネットワークが新しい地方選挙日程を要求

 マラウイの市民団体であるマラウイ選挙支援ネットワーク(MESN)が新しい地方選挙の日程を設定するように要求しています。地方選挙は当初4月20日に予定されていましたが、昨年の12月に選挙管理委員会での使途不明金14億クワチャ(約8億円)があったことが報告されたことを理由に大統領が選挙管理委員会を解散しており、事実上、日程は白紙化されています。これに対して、現実的な年内実施の選挙日程を設定するようにマラウイ選挙支援ネットワークが要求しているようです。

マラウイでは、以前にも書きましたが地方選挙は2000年のときに1度実施されたきり、いろいろな理由をつけて実施していないようです。今回も選挙管理委員会の使途不明金を理由に選挙日程が白紙化されたようです。地方選挙の実施については海外のドナーも注視しており、実施の状況如何では支援金の見直しがおきそうです。

マラウイの5歳以下の子供の41%が発育不全

 最新のマラウイの人口・健康統計によるとマラウイの5歳以下の子供の41%が発育不全であるとのことです。また、一人当たりの女性の出生率は、平均5人で、6人から下落傾向にあるとのことですが、農村部は以前として6人、都市部は5人となっているとのことです。人口の増加が続くマラウイですが、このまま家族計画がなされないままだと、現行のマラウイ政府の統計だと1300万人(2010年の推定は1500万人)の人口は、2030年には3倍まで増加すると見込まれているとのことです。

 最新の速報ベースでは、乳児死亡率は、1000人中112人となっています。

人口のコントロールがなされないと非常にまずい状況です。

ポリテクニック校閉鎖で学生組合がプレスリリース

 マラウイ大学理事会は、ゾンバのチャンセラー校、ブランタイアのポリテクニック校の学校閉鎖を金曜日に命じましたが、これに対して、ポリテクニック校学生組合が声明を発表しています。

 内容は、今回の学校閉鎖は一方的であり、非合法であると感じていること。警察とチャンセラー校講師の対立であり、大学理事会とは対立関係でなかったはずなのにいつの間にか対立関係となってしまっていること。対話を呼びかけたのに、全く対話に応じることがなかったこと。警察による催涙ガスを使った武力行使は非合法であること。などを述べており、現在の状況は、70年代に知識人を排除したカンボジアの状況と似ており、非常に失望しているとコメントしています。

マラウイ大学理事会、強行手段に

 「学問の自由」を求めて授業ボイコットをしていたマラウイ大学チャンセラー校の3人の講師は水曜日に理事会側から解雇され、即日、ゾンバの高等裁判所に解雇の無効を求める仮処分申請が出されて受理されていますが、翌木曜日に、講師を支持していた学生が抗議活動を行い、警察が鎮圧のために催涙ガスを使い、17人の学生(うち3人が女性)が逮捕されたとのことです。

 大学理事会側は、授業を実施しなかったことにより、8867万クワチャ(約5,050万円)の損失があったとしており、講師側に25%の弁済を求めているようです。

 また、大学側は金曜日に安全上の理由ということで大学を閉鎖するように命じたようで、(たぶん学生寮にいる学生だと思いますが)学生に身の回り品を持って退去するように命じたようです。命じたというか、武装警官がやってきて追い出されたようなので、強制退去です。再開の時期については言及していないとのことです。

 マラウイは、キリスト教徒が多いこともあり(全体の75%)、4月にイースター休暇(毎年異なり、今年は4/24)があります。このため、もともとこの時期はたぶん大学も2週間程度、期末休みになると思うのですが、これを繰り上げて閉鎖した感じではないかと思います。 基礎教育のための市民社会連合(CSCQBE)という市民団体が今回の紛争で政府側に8,000万クワチャの損失があったと述べているのですが、上記の金額と同じものをさしているのか定かではありません。

 暴力的なデモが起きることはよくありませんが、「学問の自由」、「教育を受ける権利」が保障されないのも問題です。マラウイの最高教育機関が麻痺することは、国家にとって本当に大きな損失だと思います。

世銀、鉱業部門の管理支援に2500万ドルを拠出

 世界銀行は、3/31付で黎明期にある鉱業部門のマネジメント支援・改善のために2500万ドル(約20億円)の拠出を認可したようです。マラウイの北部カロンガでウラン鉱山の採掘の操業が始まって以降、マラウイ国内にあるレアアース、ボーキサイト、重鉱物、宝石用原石、石炭などの鉱床に関心が高まっているとのことです。欧州連合も 566万ドル(4.5億円)の共同での拠出を予定しており、合計3066万ドル(約25億円)で、プロジェクトは天然資源エネルギー環境省の配下で2016年9月まで実施される見込みとのことです。

マラウイ国防軍850人をコートジボワールに派遣へ

 昨年11月の大統領選の結果を巡って、前大統領が落選後も職を辞さずに、市民殺傷が続けられ、政治的混乱が続くコートジボワール情勢ですが、マラウイは国連軍の配下のもと治安維持のため850名の兵士を派遣するようです。もともと新しく国として認められた南スーダンに今年1月に派遣する予定だった兵士を派遣する模様です。

チャンセラー校講師ついに解雇

 先週マラウイ大学理事会より3/24までに授業を再開するように、しない場合は解雇するという最終通達が出されていましたが、これを拒否していたチャンセラー校講師が昨日、ついに解雇通告を受けたようです。これに対して、ゾンバの高等裁判所に深夜23:30に解雇の無効を求める仮処分申請が出され受理されたようです。

 裁判所はもともと、授業再開を指示した大統領命令に対して、講師側が命令の差し止めを求める仮処分申請を裁判所に申請中に、理事会が最終通達を出したことを問題としていて、この最終通達を無効であるとしていたので、講師側の仮処分申請がすみやかに受理されたのだと思います。ここまでこじれると法廷での決着しか道がなさそうです。

ポリテクニック校の学生5人を逮捕

 マラウイ大学のゾンバのチャンセラー校で講師が「学問の自由」を求めて授業ボイコットを行なっている問題で、これに同調して3/14からボイコットに参加していたブランタイアのポリテクニック校の講師が月曜日に投票により、授業を再開することを決定しました。一方、ポリテクニック校の学生は、この警察とマラウイ大学との紛争の解決を求める請願書を提出するデモ行進を水曜日に実施しようとしたところ、当局に催涙ガスを使って阻止され5人が逮捕されています。警察側は、警察車両が攻撃対象となっており、実際に攻撃されたと述べています。

 メディアの記事を読んでいてとても気になったのは、学生側はデモの許可を警察に事前に求めていたのですが警察側が拒否している点で、警察側は、デモによりデモ参加者が器物損壊した場合に備えて200万クワチャ(約120万円)以上の保証金を預けることを要求している点です。最近大統領によって指示されているようで、こんな大金出せるわけがありません。これは事実上、デモ禁止になっています。

汚職対策事務局、3人の選挙管理委員会スタッフを逮捕

 昨年(2010)の12/7に明らかになったマラウイ選挙管理委員会での14億クワチャ(約8億円)の使途不明金の問題で、汚職対策事務局は、銀行口座に入手ルートを説明出来ない財産を保有している3人のマラウイ選挙管理委員会のスタッフを逮捕しています。

ドナーが支援金を保留すると圧力

 ドナーが、マラウイの次の国家5カ年計画である「マラウイ成長開発戦略2」が予定通り実施されない場合には財政サポートをしないということが、先週、財政支援推進派と呼ばれる欧州連合、英国、ドイツ、ノルウェイ、アフリカ開発銀行、世界銀行とマラウイ政府との会議資料の中で明らかになっています。現在、2006-2011の5カ年計画である「マラウイ成長開発戦略」がありますが、その後の計画を指すのだと思います。2012-2016の計画案は昨年末(2010/12)までに政府によって財政支援推進派に提示されるはずだったようです。しかしながら、この計画案はまだ提示されておらず、財務大臣は来月までに準備出来る見込みであると述べています。

 つまり、財政支援派はこの計画案が提示され協議されるまでは支援金の拠出を実施しないということです。

 マラウイは、国家歳入の40%以上をドナーからの資金によって賄っており、支援金が凍結されると大きな打撃を受けることになります。すでにドイツはメディア禁止法と同性愛禁止法に強い懸念を示しており、支援金の一部を凍結、ノルウェー、英国、オランダ、フランダース国際協力も保健部門改善の支援金6,600万ドル(約53億円)を凍結しているとのことです。

 国家歳入の40%以上をドナーの支援金で賄っており、その結果、外貨準備高もドナーの支援金に頼っている状況ですので、外貨が欠乏するとガソリンなどの燃料が購入出来なくなり、一気に燃料欠乏になり経済や生活に大きな打撃を受けます。マラウイ政府は以前にドナーの圧力に屈しないと述べていましたが、もう少し現実を受け止めて、すみやかに対応しないとエライことになります。そして、いつも本当に困るのは弱者である国民です。

 マラウイ成長開発戦略では、持続可能な経済成長、インフラ整備を通じた富の創出と貧困削減が目的とされ、輸入依存体質からの脱却を目指していました。