和風総本家「日本という名の惑星」

 2011/08/11にテレビ東京の「和風総本家」という番組があり、世界から見ると日本はどんな国なのか?というテーマの企画で、海外のテレビ局に「日本を題材にした番組を作ってみませんか?」とオファーし、マラウイ国営テレビ局(MBC)が応じて、4人のマラウイ人が日本にやってきて制作する日本の旅番組の取材に密着するという内容でした。見たので感想を。

 最初は、日本の取材チームがマラウイ国営テレビ局がある南部の商業都市のブランタイアに行き、日本の印象などをマラウイ人に取材。映像で見ると、ものすごく大きな都市に見える。マラウイ人が知っているのは、日本車。まぁ、ミニバスとかほとんど全部が中古の日本車です。あとは「ブルース・リー」とか「侍スパゲッティ」とか意味不明な内容が飛び出す。それもそのはず、多くのマラウイ人は、日本の位置もわからないはず。遠いから仕方ないと思います。MBCのレポートも「日本人もマラウイの事を知らないと思う。それと同じでマラウイ人も日本をよく知らないんだ」と述べていますが同感。

 そして、マラウイの取材チームが日本へ来日。寿司や刺身など魚を生で食べるということに関心があり、築地市場に。その後、刺身(マグロとブリ)に挑戦することに。やはり生魚を食べることにかなりの抵抗がある様子。これは想定内。その後、ちょうど夏なので、うなぎに興味を示し、浅草の鰻の老舗「色川」に。前半はこうして、日本の食文化の取材の様子を取り上げていました。マラウイの人というか、たぶんアフリカの人は、食に関してはとにかく保守的です。ある意味興味がない。アフリカにいるとアジアの人の食のこだわりは本当にすごいと思います。美味しく食べるために目茶苦茶手間をかけています。

 後半は、表参道にいって、着物の取材、そしてモノづくりの原点を見たいということで、江戸切子の取材。亀戸の小さな工房に行き、職人の技術を取材。美しい江戸切子のグラスを見て、マラウイ人レポーターが感じたことが非常に印象的。

「単なるグラスだけど職人が作り出す事によって生計を立てることが出来るんです。マラウイの皆さん、時間を無駄にしてはいけない。誰かに雇ってもらうのを待つのではなく自分の手で何かを作り出す道もあるんです。グラスひとつにも何か付加価値を付ける事で価値が生まれる事を私は学びました。」

そして、同行しているMBC最高責任者も、

「実際はこの場所から世界の至る所に商品が行ってる。こんな小さな場所が世界中の人達に知られているんだよ。そこが興味深いポイントなんじゃないか?その事も覚えておいてくれ。」

とコメントしていました。

 そして、その後、ガラス自体を作っているところも見てみたいということで江戸川区のガラス工房に。そこで無言で働く職人さんたちを見て、「みんな何も指示されていないのになんで働けるんだろ?」、そして、女性ディレクターがこんな感想を、

「日本人は人生で自分が何をしたいのかをちゃんと考えている。品質にこだわろうとか・・・ 楽な方法を選ぶのではなく地道に着実に仕事をしていると感じたわ。」

 あと、台本にない神戸牛の取材。MBCのトップが非常に関心があったらしい。生卵をつけて食べるすき焼きが苦手だったようだけど、ステーキとして食べて大満足。あとはペットショップを見て、日本風の旅館に泊まった様子。

 こんな感じでした。江戸切子、ガラス工房の取材の様子がマラウイ人らしい観点で、見ていて興味深かったです。マラウイは内陸国であり、これといった資源もない国です。マラウイでは、大分県の一村一品運動を参考に、2003年より取り組んでいるのですが、付加価値をつけることにより、輸出出来るようになれば国に活路が見いだせるわけです。主要輸出品のタバコに変わる換金作物への転換も急務で、もし付加価値の高い作物が輸出出来るようになれば国が豊かになるはず。多くの日本人も現地でこうした点を体を張って見本を見せているわけですが・・・ マラウイ人自身が感じて、それを伝えていくのが一番よく伝わるはずです。

 ただ、残念なことは、マラウイのテレビ普及率はとても低い。電化普及率が7-8%だし、国営テレビを見ている人は1%にも満たないはず。うーん。