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アフリカ開発会議が来週の土曜日(6/1)から開催

いよいよ来週の土曜日からアフリカ開発会議(TICAD - Tokyo International Conference on African Deveplopment)が横浜で開催されます。5年に1度開催されている日本主導の会合で、1993年に最初の会合が開かれています。今回は5回目になります。会合の目的は、アフリカの対話を促進し自助努力の支援となっています。日本がアフリカとの関係を強化するために発足された会合です。この背景には日本は国連の常任理事国入りを目指していたので、アフリカ各国の協力を取り付けたい、そしてアフリカには原油やレアメタルなどが豊富にあるので、資源外交を有利に進めたいといった思惑があって行われているようです。現在では、アフリカの急速な経済発展に伴いアフリカ市場もターゲットになっています。

2000年以降、中国の存在感が増すにつれて、このTICADの重要性が増してきています。中国は、2000年に中国・アフリカ協力フォーラムを発足させ、資源開発の投資を加速させています。TICADは、もともとアフリカ開発の在り方を議論する場であり、個別のODAの案件を議論する場ではない、つまり具体的な支援額などを議論する場でないとしていました。しかし、中国が存在感を増すにつれて、日本もそうしたことを言っていられなくなり、前回、2008年の会合では、ついに対アフリカへの政府開発援助(ODA)を倍増を表明しました。

今回の会合でも、すでにアフリカ開発会議宣言案をメディアが報じていますが、「民間セクター主導の成長促進」を掲げ、対アフリカに対してアフリカ投資基金を強化し、5年間で現在の25億ドル規模から50億ドル(約5,000億円)に強化、円借款も5年間で15億ドル(1500億円)規模に増額する方向のようです。つまり、具体的な援助額を明示しています。

この背景は、中国だけでなく韓国の躍進もあります。中国、韓国は、官民一体となってアフリカ諸国にアプローチをし、民間レベルの受注にいたっています。特に中国のやり方がかなり強引で、中国が相手国に資金を供与するものの、発注は中国企業となる「紐付き」援助となっており、技術などは現地で供与しないためアフリカ側には残りません。中国の新植民地政策などとも呼ばれ、アフリカ諸国との摩擦が絶えず起こっており不信感も根強いです。

日本は、国内に注力していたためか、高い技術力に固執するあまりグローバル戦略がいつの間にか遅れてしまった感があります。最近では、電化製品といえば、安価なものは中国製、高価なものは韓国製といった感じです。日本の存在感はないです。こうしたこともあり、ODAの在り方も変化し、官民連携にシフトしている感じです。日本も昔は、官民連携していたはずですが特定企業にのみ便宜を図るようなこともあったため批判が高まり、連携が弱まったのですが、ここに来て官民一体となってやっていこう、という機運に戻りつつある気がします。ただ、中国などと違い、今回のTICADでは、「日アフリカ官民連携人材育成構想」といったものが打ち出されるようで、5年間で1,000人の留学生をアフリカが受け入れ、企業でのインターンなども行うとしています。つまり技術も自助努力の礎として供与していこうというものです。日本としてはアフリカとのウイン・ウインの関係を築く模索をしていて中国との差別化を鮮明にしたいところです。

日本市場だけ見ると、少子化などで市場はゆっくりと縮小しているといえるかも知れませんが、その一方で人口が急増しているアフリカは魅力的な市場です。この市場に取り組むこと、つまり日本が出遅れているBOP市場(Base of the Pyramid, 途上国低所得者層市場)にどのように官民挙げて取り組んでいくかが、これからの課題といえそうです。日本は今まで高い技術力と品質があれば市場で売れていたのですが、その神話も過去のものになりつつあり、BOP市場では、通じない気がします。それぞれの国の経済事情を考慮し、リーズナブルでニーズに合った製品やサービスを提供していく、といったことが求められていると思います。