マラウイ大学チャンセラー校、再び無期限の閉鎖に

  マラウイ大学理事会は、ゾンバのマラウイ大学チャンセラー校を再び無期限の閉鎖とすることを発表し、本日(08/27)の土曜日の正午までにキャンパスから講師、学生とも立ち去るように命じました。

 この問題は泥沼化しており、マラウイのトップの大学がなかなか平常化しないため、海外の教育関係機関も事態を憂慮しています。マラウイ大学チャンセラー校は、2月に政治学の講師がチェニジアやエジプトでの反政府デモを題材として議論を行ったところ、警察側から講師に事情聴取の呼出がありました。講師側はクラス内に政府側のスパイがいること、そして、学問の自由が侵害されたとして、警察側に謝罪を求めて抗議のデモ、授業ストライキを行いました。警察側は謝罪に応じず、ムタリカ大統領、ムタリカ大統領の弟のピータームタリカ教育大臣も抗議デモの際に一部で破壊活動があったことなどを理由に、国家の安全のためということで、警察を擁護する立場をとりました。一方、大学理事会は、授業再開を求めましたが、抗議者側が応じないため、抗議デモのリーダーであった4人の講師を解雇しました。それでも騒動がおさまらないため、4月にチャンセラー校、それに同調していたブランタイアのポリテクニック校の無期限の閉鎖という強行措置をとりました。事態はこの時点で泥沼化し、双方とも裁判所に提訴したことから、法廷に論争が持ち込まれ、降着状態が続いていました。

 しかしながら、6月にムタリカ大統領が演説を行い、学問の自由は保証するとし、7月4日から授業を再開するように求めました。これをチャンセラー校、ポリテクニック校とも受け入れる方向で話が進んだと思われたのですが、おそらくポリテクニック校は再開したのですが、チャンセラー校は、大学理事会が4人の講師の解雇を撤回しないため、授業ボイコットが続き、一部のクラスのみが実施されている状況とのことでした。7月20日の反政府デモでの人権団体らが提出した請願書の中にもマラウイ大学の学問の自由と講師の解雇の撤回が要求としてあげられているようです。

 こうした中、8月17日に計画されていた反政府デモに合わせる形で、1日ずらして8月18日に学生らによる授業再開を求めての座り込みのデモが計画され、デモ実施を試みましたが、全国規模の反政府デモ自体は延期されたものの、8月17日の週のデモ活動を禁じる措置をとっていたため、警察が催涙ガスなどを使って排除しました。このため、学生は、今週(08/22)から再度デモを実施しました。デモは座り込みで日中に7日間程度予定されていましたが、3日目の水曜日に人権団体らもデモに参加し、デモの目的が(反政府デモに)変わることを警察が懸念し、再び阻止をしています。その後、木曜日に再度、デモが強行されたようで、学内の混乱が続いている中、金曜日にマラウイ大学理事会が緊急の会合を開催し、4月に続いて2回目の無期限閉鎖の強行措置をとったことになります。

 今後は、再び双方とも裁判所に提訴する姿勢を示していることから法廷論争になりそうです。また、請願書の中でも要求項目に入っていますので、政府との対話で平和的解決が図られるのが望ましいのですが、対話そのものが進展していない状況ですので、難しい状況です。

(追記)土曜日の午後に、学生組合は、閉鎖の無効を求めて裁判所に提訴し、裁判所は無効を認める仮命令を与えたようです。