8/17に向けてボールをどのように返すのか?

 マラウイでは、7/20に人権団体、市民団体などにより、現在の統治や燃料、外為不足などの経済問題の不満から、全国規模で反政府デモが行われ、デモに伴う暴動で、少なくとも19人が死亡しています。また、8/16までの回答期限付きで、政府に対して嘆願書が提出されています。今のところ政府側からの具体的な行動はなく、ボールは、政府側が持っている形となっており、政府側が今後どのように対応するかを国内外が注目しています。マラウイではこうした大規模デモが行われるのは異例のことです。

 今のところ、政府は、国営ラジオやテレビなどを通じて、反政府デモの際に一部の抗議者が暴徒化し、スーパーなどを略奪した点を強調し、デモ主催者や野党などを強く非難しています。大統領はデモのあった2日後の7/22にゾンバの警察学校の卒業式の演説で、名指しでデモ指導者を非難しています。また、大統領は2週間前にリロングウェの略奪された店舗を訪問し、今週はブランタイアの店舗を訪問しています。
先週の木曜日(7/30)に公認された副大統領のジョイス・バンダ女史が率いる人民党は7/30付で緊急声明を発表して、副大統領が7/20のデモ時に非合法活動を指示したかのような政府報道に対して公式な謝罪を要求しています。

 8/1からイスラム教徒がラマダン(断食月)に入りましたが、大統領が国営ラジオを通じて、ラマダン期間中は平和的に過ごすように、と呼びかけたことに対しても、反政府側は大統領はラマダンを利用している、と批判的に受け止めています。また、大統領夫人も8/2に北部のムジンバのドナーの支援による健康センターを訪問した際の演説で、国民の85%が村落に住んでおり、ガソリンや外貨を必要としないと述べ、同性愛の支持を通じて社会不安を引き起こしている市民団体は地獄に落ちろ!と発言したことから物議を醸しています。

 すでに英国、米国などは支援の凍結を発表しており、国連などはデモ活動の武力鎮圧により死者が出たことについて、重大な人権侵害があったとして調査準備に入っています。西側諸国や国連は、7/20のデモでは、デモ行動に対して政府側が武力鎮圧を行ったこと、そして、メディアを規制して報道の自由を剥奪したことを強く憂慮しています。

 ガソリンについては恒常的な供給不足の状況は現在も変わっていないようです。このため、タンクローリーがガソリンスタンドに給油しているのを見かけると、慌てて給油しようとする車で長蛇の列が出来ています。ただ、それでもリロングウェ市内のミニバスは平常通り運行していますし、交通量は変わっていません。

 さて、今後ですが、政府側が思い切った譲歩を示さないと、厳しい局面です。今年の2月に発生した「学問の自由」の問題が一つの先例になりますが、政府・警察と大学教員側が対立したときも、この問題の場合は、公式な謝罪を要求していただけだったのですが、どちらも一歩も譲りませんでした。局面の打開が図られたのは、6月に大統領は謝罪はしなかったのですが、「学問の自由」を保証すると演説したためです。今回の場合、嘆願書を見ると要求が多岐に渡っているので、単純ではありませんが、まずは、政府側がデモの権利とメディアの報道の自由を認め、対話の席につく姿勢を示すことが国内外に対して重要で、局面打開の手がかりになるのでは、と思います。政府側、反政府側も問題の認識は合っているのですが、なぜか議論の焦点がボケてしまってがっぷりと組めておらず、問題解決に向けての具体的な行動が出来ないままでいる気がします。

 反政府側は、8/16までに進展がない場合は、さらなる抗議デモを8/17に計画しています。何とか回避して平和的な問題解決を模索してほしいと思います。

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 ガソリン待ちの車です。無秩序に通りにはみ出て、車がまともに走行出来ない状態です。(7/30)

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